溺甘系朧咲夜【完】


「咲桜……このバカのこと黙っていたのは、本当に謝る。でも、吹雪の言う通りでしかないんだ。こいつはアメリカ時代、男として育てられていて、俺も最初は男だと思ってたんだ。だから俺からしたらただの弟で、いいとこ躾係みたいなもんだ」


「………」


……大和さんが、流夜くんの相手ではないことは、なんとかわかってきた。


ボゴッ!


柱に、拳をぶつけていた。


「さ、咲桜……?」


笑満がそろりと見て来る。私の突然の暴挙に驚いてか、流夜くんは固まっていた。私は顔をあげる。


にっこり、笑う。


「頭冷やしてきます」


勢いよく踵を返した。


「咲桜⁉」


「ついてこないで~っ」


捨て台詞を残して逃げ去った。


……頭、パンクしそうだった。

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