溺甘系朧咲夜【完】
咲桜は俺の腕の中で固まっていけど、少ししてからドンドンと胸を叩いて来た。
顔を離して少しだけ腕の力をゆるめると、顔を真赤にして唇を引き結んだ咲桜が睨んで来た。
可愛い。じゃない、今はそういうとこじゃない。
「なん、で……」
「咲桜、頼む。全部話す。斎月のことも、好きだって言えなかった理由も、全部話す。だから、今だけ俺と一緒に来てくれ」
涙まみれの咲桜は、唇を噛んでうつむいた。
……咲桜の告白出来なかった理由を知られれば、嫌われるかもしれない。嫌悪感を抱かれるかもしれない。でも。
……咲桜を独りで泣かせるくらいなら、嫌われた方がマシだ。