溺甘系朧咲夜【完】


今日は華取の家に行くには早い時間にあがったから、《白》の裏手にある駐車場に停めて上総署へ行って来た。


少し、私事で龍さんと吹雪に話すことがあったから。


そうしたら吹雪も《白》へ行くと言い出して、一緒に戻ってくる道中、あの迷惑女の非常識行動と斎月の茶番に遭ってしまったんだ。


黙り込んだ咲桜を車に乗せて、自分のアパートへ向かう。


……咲桜に嫌われたら、この関係は終わってしまうんだろうか。


いや、付き合うとか、そもそも好き合ってのことなんだから、嫌いになったら別れを切り出すもんだろう。


……咲桜に別れを切り出されるとか、俺死んでしまうんじゃないだろうか……。


咲桜の認識としては正しく付き合っているわけではないようだけど、俺は勝手に咲桜の彼氏のつもりでいるから。


……とんだ自意識過剰だ。勝手に秘密を持って、そんな気でいるなんて。


咲桜はずっとうつむいて、黙っている。


……ごめんな。


俺の部屋のローソファに、咲桜を座らせた。大した対抗もなく大人しい。

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