溺甘系朧咲夜【完】
「それは……すまなかった……」
「もっとちゃんと謝って下さい。私、バレて流夜くんと別れさせられるとか絶対やですからね!」
「……土下座でもすればいいか?」
「あ、それはいいです。さっきの大和さんのこと思い出しそうだから。――端的に答えて下さい。大和さんは、流夜くんにとって『なん』なんですか?」
「弟だ」
端的に答えても、長く答えても、それ以外にない。
「それが一番むかついてます。桃子母さん――美流子さんのこと黙ってたことよりも」
「……なんで?」
咲桜は顔をしかめまくっている。
バカのことはまあ、知られない方が咲桜たちも安全だという理由で黙っていたんだけど……。
「美流子さんのことは、黙っていた理由もなんとなくわかります。私も、流夜くんと親戚? だって感覚、未だにないですし。……これ、あとからじわじわくるやつです。なのであとで八つ当たりしても流夜くんに怒る権限ないですからね」
「じゃあ、なんであのバカが?」
問うと、キッと睨んで来た。
「弟って、家族じゃないですか」