溺甘系朧咲夜【完】
もう片腕を咲桜の背中に廻して、腕の中。
咲桜は、背丈はあるけどすっぽり収まる。
「あ、あああの!」
「なに。好きって言えって言ったの咲桜だよ? 言ったらたくさんするって言ったろ」
「そうですけどっ。自爆は認めますけど、えーとあのえーと……あ! お店! 戻らないと! 大和さんに謝らないと! 空気悪くして逃げて来ちゃいましたから!」
「バカに謝る必要ない。あいつ、察しはいいから今頃こうしてるのもわかってる」
「恥ずかしい!」
がばっと両手で顔を覆った。
……咲桜があれを気にする理由が、未だによくわからない。あのクソガキがなんだってんだ?
あ。
「咲桜……もう一つ話忘れてた……」
言いたくねー。……でも、隠し事しないって言ったしなー。
「なんです?」
咲桜が指の隙間から覗いて来る。
「あれとつるむようになったきっかけ? なんだけど……」
「………」
これでもか、というほどじーっと見て来る。
……白状するしかないか。