溺甘系朧咲夜【完】
「当時はあいつ男として育てられていて、俺も男だと思ってたんだ。普段は髪も黒く染めていて、東洋系の顔立ちで、四歳って年齢なのもあって目立ってて。ほとんど同じ講義受けていたから、なんとなく話すようになったって言うのかな。まあそんな感じで、俺としては弟でも出来た気だった。でも悪目立ちし過ぎたのか、ある日、な……」
「……どうしたんです?」
今度は俺が項垂れる番だった。
「学内外の女子に襲われたんだ……」
「……はい?」
あー、思い出したくねえし話したくもねえ。
「それで流夜兄さん、女性に雑になったんですよ」
「てめえは女性恐怖症になって今も治ってねえだろ」
あまりに忌まわしくて話したくなくて、説明を斎月にぶん投げた。
再び咲桜と《白》に戻ると、斎月はまだいた。降渡が増えていた。
「貞操の危機じゃないですか!」
斎月から話を聞いた咲桜は、真っ青な顔で叫んだ。
……否定出来ない。