溺甘系朧咲夜【完】


本音を言うと、俺は咲桜のことがずっと好きだった。


でも、俺には咲桜に告白出来ない理由がある。


年齢や職業ではなく、もっと根が深いところの問題。


……そのことを咲桜が知れば、今まで通りは接してくれないだろう。


もしかしたら咲桜の方から離れてしまうかもしれない。


……それが怖くて、理由を打ち明けることも、告白することも出来ずにいた。


今日の自分の言動は、咲桜が告白されたと知って頭のネジが一本ぶっ飛んだからとしか言えない。


咲桜の虫除けのために存在になったからと言って、相手の野郎から『なら会わせて』と言われたら、俺が会うことは出来ないのに。


……でも、咲桜に彼氏なんて出来たら、俺は自分から消える道を選んでしまいそうだ。


降渡や吹雪に話したら、「だからこのバカは」で片付けるだろう。


どうせバカだ。弟と同じくらいバカな自覚くらいはある。


勝手に咲桜に対して負い目を持って接していて、咲桜が喜ぶわけも、ましてや好いてくれるわけもないのに。(↑咲桜の告白は以下略)


もしも咲桜が、差し出した俺の手を取ってくれたなら、どんなことも乗り越えて行けると思う。


血を覆すことですら。


……決めた。咲桜に、本気で向かって行く。本気で――咲桜をとりにいく。在義さんから、咲桜の親友たちから――降渡から、奪う。


本気で、咲桜を俺の物にする。(降渡はただのとばっちりです)

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