溺甘系朧咲夜【完】


「怒っていないわけではないな」


「ごめんなさいっ」


「違うよ。誰かに怒ってるわけじゃない」


「へ? じゃあなんで昨日から機嫌悪いんですか? やたら私のこと見て来てるから、てっきり私に怒り心頭なのかと……」


そこまで言うと、先生はうっとのどを詰まらせた。


先生ってクールな割には面に出やすいんだよなあ。


「それは……」


「何かあったんですか?」


髪をいじっていた手が、今度は私を抱き寄せる腕に変わった。


「先生っ?」


ほ、ほんとどうした⁉


「降渡がこうしたら……どうする?」

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