溺甘系朧咲夜【完】


そっか、今は、なんだ。


だから、いつか、が来たら、私と先生のこの近距離は終わるんだ……。


先生が『彼氏っぽいこと』とか言ってすることも、しなくなるんだ。


しょうがないよね。先生には彼氏じゃないって言われているし、いや、当たり前か。


先生と私じゃ釣り合わないどころじゃないし、頑張っても私、妹扱いくらいになれたらいいなあ、ってレベルだよ。


私が想っているような感情を、先生に期待しても無理なんだ。


「なんだ。とうとう神宮がヤケ起こしちまったのかと思っ


スパンッ、と遙音先輩のすぐ後ろの壁に定規が飛んだ。


「遙音。今余計なこと言うんじゃない。学校じゃなかったらぶちのめしてるぞ、お前」


「ごめんなさい」


恐ろしく冷えた眼差しと声の先生に宣告されて、遙音先輩は一歩身を退いた。


「おい咲桜。神宮どうしたんだ? あいつがキレるなんて咲桜関係以外思いつかないんだけど」


「ええと……」


関係は、さっき先生が言った通りなんだけど。


でも、先輩のそれは買いかぶりすぎだよ。

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