溺甘系朧咲夜【完】


「んー、本気でとりに行くのも悪くないなあ、と」


「? 何か欲しいものがあるんですか?」


先生がどんな顔をしているのかと顔をあげようとすると、抱き寄せられているのとは反対の手に頬を捉えられて、無理矢理上向かされた。


あ、あれ? その表情はやっぱり怒ってない?


「鈍感」


「なんでいきなりディスられるんですかっ」


「なところも可愛かったんだけどなぁ」


「だから――って、え」


「いい加減わからないかな」


「何をですか? 先生こそ全然わかってないじゃないですかっ」


あ、なんか勢いで言い返しちゃった……。


ぴくり、と先生の眉が動いた。


「ほー? 俺に喧嘩売ろうと? 咲桜との喧嘩ならいつでも買うぞ?」


「物騒なこと言わないでくださいーっ! 惚れた弱みで勝ち目ありませんからっ」


「いや、降渡じゃなくて俺が買うんだけど」


「へ? なんで私が降渡さんに喧嘩売るんですか? ってか、さっきから降渡さんの名前出てきますけど、先生、降渡さんと喧嘩してるんですか?」


「は?」


「へ?」


……んん?

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