溺甘系朧咲夜【完】
……卒業したら、告白、したいと思ってる。
先生にとって私は、師でもある華取在義の娘、って程度だろうから、ごめんなさいされる結果は目に見えているけれど。
ずっと秘めて来た気持ちだから、先生に届くだけでもいい。
受け取ってもらえなくてもいいから、私は先生が好きだって、知っておいてほしい、なんて思う。
先生は授業がない時間とか空いている時間は、この旧校舎の資料室にいる。
ほかにここを使う先生はいなくて、ここでは、先生は私を『華取』ではなく『咲桜』と呼んでくれる。
「学年でちょうど真ん中って、咲桜らしいと言えばそうだけど」
「う……」
ど、どういう意味ですか先生……。くすくす笑う先生睨み上げる。
私は学年の女子では一番背が高いんだけど、先生の目はその更に上にある。
なんで私が成績のことで先生に謝っているかというと、実は去年一年間、私は先生に家庭教師をお願いしていた。
高校に入学して、同じ学校の先生に個人的に勉強を見てもらうのはマズいかなって思って、合格が決まったときに終わりにしていたんだ。
んで、一人で――親友二人と一緒だけど――勉強していたらこの結果。見事に真ん中の順位をとった。