溺甘系朧咲夜【完】
中学二年、十四歳のとき一年間、アメリカの大学に留学していた。
それで向こうで色々スキップして博士号をとってきた。
「向こうでも今と変わらないことをやっていた感じだから、今更話すこともないんだよなあ……」
「あ、じゃあいいです。先生のお仕事はあまり他言しちゃダメですから」
物わかりがよすぎる。
「もうちょっとわがまま言ってくれてもいいのに……」
「話したくないって言ったの誰ですか。なら代わりに――……」
「うん?」
顔を覗き込むと、またふいっとそっぽを向いた。
「代わりに? なに?」
「あ~、これはまたの機会でいいです……」
「二人きりになれるの、そうないからいつって約束出来ないけど?」
本業を主軸に生きているから、家にいる時間はほぼない。
華取の家にお邪魔するときは、在義さんや降渡たちがいるから二人きりになるのは実質不可能。
学校でなら時間はあるけど限られているし、学校で出来る話かもわからない。
「じゃあ……先生が私をどう思ってるか、簡単な言葉で教えてください。『幸せになってほしい子』、以外で……」
「―――」