溺甘系朧咲夜【完】


「うん。もう一回」


「無、理、ですっ! そう一気に進めません!」


「そう? 咲桜の声で呼ばれるの好きなのに」


「それなら先生でもいいじゃないですか――って、今」


「あ」


「……気を抜きました?」


さらっと、さっき泣いてまで言えなかったワードを言ってしまった……。


つーかこのトシで泣くとか……。


「今ので卒業までがんばれますっ。ありがとうございますっ」


が、咲桜は俄然元気になっていた。


……今度は俺の顔に悔しいと書いてあるだろう。


「咲桜が『先生』って呼び続けるなら、俺もそろえて『華取』って呼ぶことにしようかな」


「えっ……それは……」


「いや?」


「………学校では先生でいいですか?」


「普段はなんて呼んでくれる?」


「……流夜くん、って呼べるようにがんばります……」


「よーし、いい子」


「妹扱いはしないでくださいー」


頭を撫でようとすると、猛抗議を受けた。

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