溺甘系朧咲夜【完】


相手の女性は振り向いてもらおうと頑張った。


でも、全然自分を見ない流夜くんを変えることは出来ずに、自分から別れを告げた。


それが繰り返されたんだよって、ふゆちゃんが後日談も話してくれた。


話を聞いたのはうちのリビングで、流夜くんたち三人揃っていた。


ふゆちゃんが話すのを止めなかったけど、話が進むうちに流夜くんは机に突っ伏していた。


当時私は小学一年生だったんだけど、よく憶えている。


平坦な瞳で、『お兄ちゃんってあたまいいのにばかなの?』って言ったのを……。


好きな人になんてこと言ってんだ私は。そしてそのときの流夜くんのショックを受けたカオ。


……今思い出しても笑える。


以来、ふゆちゃんや降渡さん、果ては在義父さんや龍生さんまで、流夜くんのことを『頭のいいバカ』って言うようになった。


……名付けてしまった私は未だに複雑だ。

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