溺甘系朧咲夜【完】
「一応、今日はクリスマスイブなので」
「へ? ………………ああっ!」
間を置いて、咲桜が叫んだ。一気に顔が蒼くなる。
「忘れてました!」
「うん、受験生なんだから忘れているくらいでちょうど。むしろそういうので浮かれてたら教えるの辞めてる」
「忘れててよかったです!」
相変わらず素直だなー。思わず苦笑がこぼれる。
「でも先生、すみません、本気で忘れていたので私、なんも用意してないです……」
「だから忘れてるくらいでいいって。お返ししたいんなら、合格が一番のお返し」
「絶対合格します!」
一気にミルクティーを流し込んで、またシャーペンをつかむ咲桜。
ほんっと、こいつは喜怒哀楽が激しい。だから見ていて面白いんだけど。
……それでいてポーカーフェイスが出来るのが厄介なとこだ。