甘くて、苦くて

その日から、毎日ラインをするようになった。

意外と面白くて、音楽の趣味が合って、

寝るのが遅くて、弟がひとりいて、

ハヤシライスが好きで、血液型はB型。

村井君のことを少しずつ知っていくたびに、

嬉しかった。

学校では席替えで席が離れたり、

なんだか照れくさかったりして、

すれ違ったら挨拶するくらいで、

全然話さなかった。

話したくて、もどかしかったけど、

ラインでこっそり連絡を取っているのも、

なんだか心地よかった。

文化祭の時期、

クラスの中心グループをはじめとして、

クラス内カップルが何組か誕生した。

私は中心の賑やかグループではないものの、

そのグループとも仲良くやっている

普通グループだった。

村井君はサッカー部だったから、

サッカー部の人といることが多かったけど、

その中ではいちばん大人しくて、

落ち着いていた。

他のサッカー部の人と違って、

女の子と仲良く話すタイプではなかったから、

ラインを続けている自分だけ、

特別な感じがしていた。
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