甘くて、苦くて
クラスで文化祭の係を決める前日の
村井君からのライン、
【 松本さんは文化祭の係なにする? 】
[ 装飾かな!村井君は?]
【 じゃあ俺も装飾にしよっかな 】
嬉しくって、ドキドキして、返信に困った。
あぁ、好きになっちゃったって、再認識した。
村井君との関係は、友達にも、
誰にも言ってなかった。
なんだかもったいなくて、
ふたりだけの秘密の関係にしておきたくて、
言ってなかった。
ドキドキしたのが伝わらないように、
そっけない返信をしたんだったな。
同じ装飾係になってから、
事務的な用事ばかりだったけど、
話すことが増えた。
装飾係は男女4人ずついたから、
村井君とだけじゃなくて、
みんなと話す機会が増えたんだけど、
村井君が女の子と話してるのを見るのが辛くて、
羨ましくて、嫉妬して、
ラインを返さなかった日があった。
馬鹿な女だって、言われるかもしれない。
そしたら次の日、
文化祭の準備時間に村井君は
私の作業を手伝うと言って、
さりげなく近くにやってきた。