好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「ねぇ、蒼。夏休み一緒に勉強しない?

あたしN高受けたいんだけどさ、このままだと数学が足引っ張って志望校変えなきゃいけなくなるかもしれないって言われちゃって……

蒼、数学得意じゃん。あたしに教えてくれない?」

「別にいいけど……」

「よかった。あたし一人だと勉強に集中できなくてさ、すぐ漫画読んだりスマホいじったりしちゃうんだよね。
毎日蒼の家に来てもいい?」

「来たかったら来ればいいんじゃね」

そう答えた俺は内心焦っていた。

こいつは一人だと勉強に集中できないのかもしれないが、俺はほのかが隣にいるほうが集中できない。

こいつは俺の受験勉強の邪魔をする気か……



「やったぁ。蒼先生よろしくね」

俺を勝手に先生扱いするな。

正直迷惑な気持ちもあるけど、ほのかに頼られて悪い気はしなかった。
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