好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
夏休みは毎日通うと言っていたのに、ほのかはある日を境に来なくなった。

それでも、俺はほのかが来たら少しでもいい所を見せようと、毎晩遅くまで勉強していた。



今日もきっと、ほのかは来ないだろう。

そんな予感がしながら、俺は一人で学習机に向かっていた。

午前中の割と早めの時間に、インターホンが鳴った。

もしかして、ほのかが来たんじゃないか……
俺は、淡い期待を抱きながら部屋を片づける。



「蒼ー、ほのかちゃんよ」

いつものように母親と階段を上がる足音が聞こえる。

「ほのかちゃん、どうぞ」

母親は少し高めの声でそう言って、部屋のドアを開けた。
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