好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「ヤバイ、蒼……
夏休みの宿題終わんない。
答え見せてくれない?」

あいつは、いつもより大きめの鞄に宿題を詰め込んでやって来た。



こいつは、今まで何をしてたんだ。

自分の家で勉強してたんじゃないのか。

真面目なほのかが夏休みの宿題を溜め込むのは意外だった。

俺は、仕方なく夏休みにやるように学校から渡されたものをテーブルに並べる。

ほのかは自分で問題を解こうとせず、黙々と俺が書いた答えを写していた。



「ほのか、受験勉強大丈夫なわけ?」

「……わかんない」

心配になってたずねた俺に、ほのかは鉛筆を動かす手を止めずにつぶやいた。
< 14 / 210 >

この作品をシェア

pagetop