好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
それまで鉛筆を動かしていたほのかが、ふと思い出したようにトートバッグからスマホを取り出す。

彼女はスマホの画面を確認してから、それを問題集の隣に置いた。

また答えを写しだしたほのかは、時々スマホを気にしている。



誰からの連絡を待っているのだろうか。

今まで勉強している時は、スマホをバッグにしまったままのことが多かったあいつ。



まさか、男でもできたのか……

真剣な表情で問題集をめくるあいつに視線を向ける。



髪型も変わらない。
メイクもしていない。

洋服だって、いつも着ている体のラインがよくわからないダボっとした白いTシャツ。

特に変化はないはずなのに、あいつは前より綺麗になった気がした。
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