好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
曲がかかると、他のメンバーは顔を上げて笑顔で踊り出す。

ほのかだけは、まだ下を向いていた。



あいつは、大丈夫だろうか。

歌にも踊りにも、全く感情が入っていない。

ステージに立っているだけで辛そうだった。

明るい曲に合わせて元気に踊るメンバーに囲まれて、あいつだけ浮いている感じがした。



それまではなんとなく踊っていたあいつの足が止まった。

振り付けを忘れてしまったのだろうか。

ほのかは助けを求めるように後ろに振り返った。



誰も彼女を助けようとはしなかった。

他のメンバーは、何事もなかったかのように笑顔で踊り続けていた。



ほのかの目から一筋の涙がこぼれ落ちる。

その表情を、カメラはアップでとらえていた。
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