好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
涙を流しながら棒立ちになっているあいつの周りを、メンバーが踊りながらくるくる回っていく。

ほのかは、両手で顔をおおった。



曲が終わるまで、ほのかはずっとセンターで泣いていた。

ステージの照明が落とされると、ほのかはその場にしゃがみこんだ。



そこで、カメラが切り替わる。

テレビには、心配そうにステージを見つめる女性アナウンサーの顔が映っていた。



「ほのかちゃん、大丈夫かしら……」

俺の背中でつぶやいた母親には何も答えずに、俺はテーブルに広げたパンフレットを片付けて立ち上がる。



「チャンネルこのままでいい?」

「……じゃあ、ニュースにしといてくれる?」

俺は母親がリクエストしたチャンネルに変えて、自分の部屋に戻った。
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