好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
俺の腕の中のあいつ
一学期の期末テストは史上最低記録を更新した。

返却されたテストは、母親に見つかる前にシュレッダーにかけた。

この調子だと、東京の国公立大学に通うのは夢のまた夢だ。

例え何かの間違いで合格したとしても、もうほのかには会えないのかもしれない。



夏休み中に遅れを取り戻さなければならないが、勉強する気力もない。

まだ夏休みは始まったばかりだ。

夏休みの宿題は、二学期が始まるまでに終わらせればいい。

俺は友達と遊びに行く訳でもなく、一人で真面目に勉強する訳でもなく、自分の部屋でゴロゴロしていた。



あいつが出ている雑誌は、全て買いそろえていた。

あいつの写真を眺めたり、インタビュー記事を読んだりして時間を潰していた。



いつの間にか、俺の部屋の床には大量の雑誌が転がっていた。

今日もまた、何もしないまま一日が終わってしまう。



読み散らかした雑誌とともに床に転がっていると、インターホンが鳴る音が聞こえた。
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