好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
もう母親はパートから帰ってきて、リビングで夕食の支度をしている。

俺は母親が出るだろうと思って、そのまま床に転がっていた。



「蒼、ほのかちゃんよ」

一階から母親の声が聞こえた気がしたが、あいつが来るはずがない。

俺は空耳だと思って、目を閉じていた。



下から階段を上がる足音が聞こえる。

俺は、まさかと思いながら起き上がった。



またノックもせずに母親が、俺の部屋のドアを開ける。

廊下には、あいつが母親の後ろに立っていた。
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