好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
実家にあった洋服を引っ張りだしてきたのか、あいつは昔よく着ていた半袖のTシャツと短パンを身につけていた。

小学生の頃は気にならなかったが、今のあいつの体型だと俺は目のやり場に困ってしまった。



「ゆっくりしていってね」とドアを開けている母親に小さくおじぎをして、あいつは俺の部屋に入ってきた。

母親は部屋のドアを閉めると、リビングへ下りて行ってしまった。



あいつは、ドアの前に遠慮がちに立っている。

これは、夢じゃない。



俺は慌てて床の上に転がっている雑誌を拾って、あいつには表紙が見えないように抱えた。

あいつが載っている雑誌ばかり転がっていたら、変態かストーカーと勘違いされてしまいそうだ。

俺は雑誌を全部本棚に突っ込んでから振り返った。
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