好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「座れば?」

「うん」

昔のあいつは勝手に俺のベッドに転がっていたが、今日はドアの前に突っ立ったままだった。

俺が声をかけると、うなずいて床に座った。



「実家に……帰ってきちゃった」

床の上の物は全て拾い上げたが、机の上にはあいつの初グラビアが載っている雑誌や、あいつが誕生日に送ってくれた箱についていた伝票が転がっていた。

俺は雑誌を裏返して、伝票を引き出しにしまってから、ほのかの向かいに座った。



正面からあいつに視線を向けると、まっすぐ目が合ってしまった。

俺はあいつを直視することができなくて、また視線をそらした。
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