好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「いえ……大丈夫です」

「せっかく来てくれたのに、ごめんね。
蒼君のお母さんにも、よろしくね」

「急に押しかけてすみません……また来ます」

俺は軽く頭を下げて、ほのかの家を後にした。



もうあいつは東京にいるのか……

俺は、また出遅れてしまった。



帰り道、俺は歩きながらあいつに電話をかけた。



「おかけになった電話番号は、お客様のご希望によりおつなぎできません」

無機質な自動音声が流れていた。



昨日見たのは、夢だったのだろうか。

あいつは俺の幼なじみから、手の届かないアイドルに戻ってしまった。



俺は通話を終わらせると、力なくスマホを下ろした。
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