好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
数日経って、俺はようやくやる気を取り戻した。

真面目に生きていれば、また良いことがあるかもしれない。

ふとあいつが訪ねてきた時に、恥ずかしくなるような生き方はしたくなかった。



俺は朝から学習机に向かい、参考書を広げていた。

リビングから宅電が鳴る音がする。

母親はパートに出ている時間だ。

俺はシャーペンを置いて、リビングに下りた。



「はい、もしもし……」

最近は物騒な世の中だ。

自分からは名乗らず、相手の出方を待った。



「もしもし……蒼?」

その声を、聞き間違うはずがない。

俺は、あいつの名を呼んだ。



「ほのか……」
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