好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
周り道をしたせいか、予定していたよりも遅くなってしまった。

人々が寝静まった夜の公園は、子どもたちが遊ぶ声も聞こえずひっそりとしている。

初めて訪れる公園は、遊具も少なく思っていたよりも小さな公園だった。



オレンジ色の街灯が、人気のない公園を柔らかく照らしている。

あいつは街灯に寄りかかり、夜空を見上げていた。



あいつは何を見ているのだろう。

俺も空を見上げてみたが、暗い夜空には月さえも見えなかった。



昼間にスカイツリーから見た空には、分厚い雲がかかっていた。

この雲が、星の光を全て遮っているのだろう。



何も見えない夜空を見上げるあいつの目は、どこか悲しげに見えた。
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