好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「だから、ごめん……あたし、蒼とは付き合えない」

ほのかは、そう言ってうつむいた。

唇を噛みしめてから俺を見上げたあいつの瞳には、うっすら涙が溜まっていた。



「あたしは、蒼のこと……ずっと好きだった。
今まで……本当にありがとう」

ほのかの声は、微かに震えている。

あいつは胸の前で、手を強く握りしめた。

あいつはゆっくり近づき、まっすぐ俺を見上げた。



「さよなら、蒼……」

あいつは背伸びをして、そっと唇を重ねてきた。



突然の出来事に、俺は目を閉じることも、あいつを抱きしめることもできなかった。
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