好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
唇を離したほのかの頬を、涙がつたっていた。

あいつはうつむいたまま、俺に背を向けた。



あいつの小さな背中が震えている。

俺は大声であいつを呼んだ。



「……ほのか!」

ゆっくりと歩いていたあいつが、足を止める。



「俺、待ってるから……10年でも20年でも、ずっとほのかのこと待ってるから」

俺は、振り返らないあいつの背中に向かって叫んだ。



「必ず、夢叶えて戻ってこい」

あいつは背を向けたまま、小さくうなずいた。
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