好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
全ての曲が終わっても、アンコールは鳴りやまなかった。

掛け声に合わせて、ライトブルーのペンライトが揺れている。

snow mistのロゴが入ったおそろいのTシャツを着て再びステージに登場したあいつの目には、涙が光っていた。



「本日は、本当にありがとうございました」

大声で叫んで客席に手を振ったあいつは、ステージで笑顔を見せていた。



達成感に満ちた幸せな笑顔だった。

俺が見たかったあいつの笑顔がそこにあった。



その笑顔が俺だけのものにならなくても、あいつが幸せならばそれでいい。



俺はほのかの笑顔を目に焼き付けて、会場を後にした。
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