好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
何度かまばたきして、大きな黒目が俺に向けられる。
俺は慌ててスマホを隠した。
「……隠し撮りやめてよ」
「お前撮ってたんじゃねぇよ」
うぬぼれんじゃねぇ、お前なんかに興味ないって感じを装って気だるそうに椅子に寄りかかる俺。
あいつは不満げな顔で、視線を自分の机に戻した。
あいつの机には、珍しく流行りの雑誌がのっている。
教科書か難しそうな本を読んでることが多いのに……
真面目な顔で何を読んでいるのか気になって、俺は横目で開かれたページの文字を盗み見る。
「お前、アイドルになりたいの?」
思わず大きな声で言ってしまった。
「声でかい……」
オーディション情報が載っているページを慌てて隠そうとするあいつ。
俺はあいつから、その雑誌を取り上げた。
「応募すればいいじゃん」
「……そんなんじゃない。返してよ」
雑誌を取り返そうと華奢な手を伸ばす彼女。
「他薦オッケーって……なにこれ、お前デビューしたら俺10万もらえんの?」
『デビューした場合、紹介者に10万円』の文字を指差す俺。
「無理に決まってるでしょ……」
恥ずかしそうにうつむいて雑誌を引っ張る彼女。
「まだ読み終わってねぇよ」
俺だって手を離さない。彼女と雑誌の取り合いになってしまった。
「返してってば」
俺の言葉に、彼女は雑誌を握る手を離した。
「お前さ、本当は変わりたいんじゃないの?」
俺は慌ててスマホを隠した。
「……隠し撮りやめてよ」
「お前撮ってたんじゃねぇよ」
うぬぼれんじゃねぇ、お前なんかに興味ないって感じを装って気だるそうに椅子に寄りかかる俺。
あいつは不満げな顔で、視線を自分の机に戻した。
あいつの机には、珍しく流行りの雑誌がのっている。
教科書か難しそうな本を読んでることが多いのに……
真面目な顔で何を読んでいるのか気になって、俺は横目で開かれたページの文字を盗み見る。
「お前、アイドルになりたいの?」
思わず大きな声で言ってしまった。
「声でかい……」
オーディション情報が載っているページを慌てて隠そうとするあいつ。
俺はあいつから、その雑誌を取り上げた。
「応募すればいいじゃん」
「……そんなんじゃない。返してよ」
雑誌を取り返そうと華奢な手を伸ばす彼女。
「他薦オッケーって……なにこれ、お前デビューしたら俺10万もらえんの?」
『デビューした場合、紹介者に10万円』の文字を指差す俺。
「無理に決まってるでしょ……」
恥ずかしそうにうつむいて雑誌を引っ張る彼女。
「まだ読み終わってねぇよ」
俺だって手を離さない。彼女と雑誌の取り合いになってしまった。
「返してってば」
俺の言葉に、彼女は雑誌を握る手を離した。
「お前さ、本当は変わりたいんじゃないの?」