好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「……お前が選ばれるなんてな」

余裕をかまして憎まれ口をたたいてみる。

「あたしも信じられないよ」

そう言いながらも、彼女は自信に満ちていた。

こいつ、本当にアイドルになるのかよ……
その事実に動揺を隠せない。



こいつが誰よりも可愛いのは知っている。
それを認められることで自信を持ってほしいと思った。

一次か、二次までは進んでも、最終では落とされるだろう。自分はそう思っていた。

ほのかが少しだけ自信を取り戻して帰ってくる、それが俺の理想であり予想だった。



まさか最終まで受かるとは……

驚きとともに、ほのかを誰にも取られたくない気持ちが沸き上がる。

俺はこいつに何て言葉をかけたらいいのだろう。
素直に喜んでやれない自分を大人げないと思う。

彼女を俺だけのものにしたい。

俺は本音を言うことも、綺麗なタテマエを言うこともできず、無言で突っ立っていた。
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