好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「蓮見君、クジ運いいね」

「マジで?」

「最前列……先生の目の前」

「それって、最悪じゃね?」

「受験生だし、勉強はかどっていいんじゃない」

「マジかよ……」

顔を歪めた俺を見て、笹川はフッと笑った。

彼女は典型的な優等生で、他の女子よりも大人びて見えた。

長い髪を耳にかけ、手書きで作った座席表に俺の名前を書き込んでいる。



ほのかが手のかかる妹だとしたら、笹川はしっかりした姉のような存在だった。

どうしても男の目を引いてしまうほのかを毛嫌いする女子が多いなか、笹川はほのかにも平等に接してした。



学級委員の責任を感じて一人ぼっちのほのかに声をかけてくれていたのか、それとも成績も学年トップで美人な彼女はほのかを見ても妬ましくは思わなかったのか……

理由はわからないが、ほのかに親切にしてくれた彼女に悪い印象はなかった。
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