好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
彼女が笑わなくなったのはいつからだろう。
ショートヘアだった彼女は活発で負けん気が強くて、どちらかというと少年みたいだった。
俺と一緒に走り回って、いたずらばかりしていた幼い頃とは別人のようだ。
彼女は綺麗になりすぎた。
細長い手足にあの顔じゃ、どこにいても目だってしまう。
それが気に入らないのか、クラスの女子は陰でこそこそ悪口を言っては、嫌なものを見るような視線を送る。
あいつは強い。泣いたり弱音をはいたりしない。
もう少し頼ってくれてもいいのに……
彼女は心を閉ざしたまま、寂しそうにうつむく。
そんな憂いをおびた表情もすごく綺麗だった。
思わず隠し撮りしてしまった写真をこっそり開く。
我ながらよく撮れている。
『必ず10万とってこいよ』とあいつに言ったが、お金が欲しいわけじゃない。
ただあいつの笑顔が見たかった。
自信なさそうにうつむく姿じゃなく、無邪気に笑う顔が見たい。
少しでも自信を持ってほしい。
あいつが変わるきっかけになれば……
俺はそう願って、この写真を送った。
ショートヘアだった彼女は活発で負けん気が強くて、どちらかというと少年みたいだった。
俺と一緒に走り回って、いたずらばかりしていた幼い頃とは別人のようだ。
彼女は綺麗になりすぎた。
細長い手足にあの顔じゃ、どこにいても目だってしまう。
それが気に入らないのか、クラスの女子は陰でこそこそ悪口を言っては、嫌なものを見るような視線を送る。
あいつは強い。泣いたり弱音をはいたりしない。
もう少し頼ってくれてもいいのに……
彼女は心を閉ざしたまま、寂しそうにうつむく。
そんな憂いをおびた表情もすごく綺麗だった。
思わず隠し撮りしてしまった写真をこっそり開く。
我ながらよく撮れている。
『必ず10万とってこいよ』とあいつに言ったが、お金が欲しいわけじゃない。
ただあいつの笑顔が見たかった。
自信なさそうにうつむく姿じゃなく、無邪気に笑う顔が見たい。
少しでも自信を持ってほしい。
あいつが変わるきっかけになれば……
俺はそう願って、この写真を送った。