好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
オーディションへの応募が完了したことを確認する画面が、俺のスマホに表示されていた。

俺は自分の部屋の学習机に向かって座り、その画面を眺めていた。

明るい液晶画面を閉じてスマホを机に置き、数学の問題集を手に取る。

来週から期末テストが始まる。
オーディションのことは忘れて、数学の問題を解き始めた。



遠くから聞こえるインターホンの音を気にとめず問題に集中していると、一階から母親が大きな声で呼びかける。

「蒼(アオイ)ー、ほのかちゃんよ」

うちの母親は俺の都合を確認せずに、勝手にあいつを俺の部屋に連れてくる。

俺は、慌てて床に投げ捨てられたままの雑誌を拾い上げた。
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