好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》

ほのかはステージの最前列に一人で立つ。

二列目には二人のメンバー、三列目には三人のメンバーが立って逆三角形を作っていく。

やはり、ほのかは緊張しているようだ。

最初のポーズをとる彼女の表情は、少し硬かった。



曲のイントロが流れ始める。

アイドルらしい爽やかな曲だった。

曲がかかり踊り始めた途端、彼女の表情が変わる。

控えめで自信がないところは見え隠れするが、彼女の瞳はキラキラ輝いていた。



今まで男に媚びないどころか近寄りがたい雰囲気を出していたほのかが、アイドルらしい振り付けを一生懸命踊って初々しい笑顔を作っている。

今まで彼女なりに頑張ってきたのだろう。

ほのかのステージを観て、俺は涙ぐみそうになってしまった。