好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「あら、蒼。早いわね」

まだパジャマ姿の母親が、エプロンを引っ掛けながら二階から下りてきた。

俺はモヤモヤした気持ちを抱えながら、その動画を閉じる。



「今ご飯用意するわね」

「よろしく……」

俺は母親にそっけなくつぶやいて、ソファーにもたれかかる。

ほのかが俺の知らないうちにファーストキスを済ませてしまったことは、今日が合格発表なのを忘れてしまいそうになるほどの衝撃だった。
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