好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「ありがとう、蒼」

あいつは、割と物分かりがいいほうだった。

俺が書いたノートを見て理解したのか、くりっとした目を俺に向ける。



「たいしたことねぇよ……」

あいつは俺じゃなくてノートに近づいただけだが、俺はあいつとの距離が近すぎるのが気になった。

問題を解くのに疲れたフリをして、気だるそうに体をそらしてベッドに寄りかかる。

問題集とノートをトートバックにしまうと、ほのかはベッドに置かれた写真集に視線を向けた。



しまった……

床に転がっていた雑誌は片づけたけれど、ベッドの上は確認していなかった。

俺がしまおうと手を伸ばす前に、ほのかは立ち上がってその写真集を手に取った。
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