好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「蒼って、アイドル好きなんだっけ……?」

今一番勢いのあるアイドルグループのメンバーの写真集だった。



「いや……なんかすげぇ売れてるって聞いたから」

正直、そこまでこのアイドルに興味はない。

テレビではミニスカートすらはかないようなお嬢様アイドルが水着になったと聞いて、ついうっかり買ってしまった。

男子の本音をお子ちゃまなあいつに言える訳もなく、俺は言葉を濁した。

あいつは俺の焦りに気づくことなく、「へぇ、そうなんだ」と写真集を開き始める。



あいつは自分の部屋のように勝手に俺のベッドに座り、写真集のページをめくっている。

授業中は机に隠れて気にならなかったセーラー服のスカートの短さが妙に気になる。

俺は、あいつの太ももが視界に入らないように目をそらした。
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