好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
「わりぃ、また今度な」

まだ名前も聞いていないクラスメイトを残して席を立つ。

笹川と一緒に、教壇に積まれたノートを抱えて教室を出た。



「蓮見君、ありがとう。一人じゃ重くってさ……」

「いや、俺のほうも助かったし」

学級委員は、男女一人ずつ選ばれている。

男の学級委員に頼めばいいことを、笹川は俺に頼んだ。

俺は、彼女が気を利かせて声をかけてくれたのだと思った。



「弓槻さんとは、もう連絡とってないの?」

彼女は、さっきの会話を聞いていたのだろうか。

笹川には本音を話してもいい気がした。



「もう俺のことなんか忘れてるんじゃね?」
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