好きの代わりにサヨナラを【蒼編】《完》
あいつは無防備だ。

今はちゃんと座っているけど、この前は制服のスカートをはいたまま俺のベッドに寝転んで雑誌を読んでいた。



こいつは、俺のこと男だと思ってないのか……

それとも、身体だけ15歳になって、頭の成長は5歳のまま止まっているのか。



小学五年生まで、クリスマスプレゼントは親じゃなくてサンタクロースが枕元に置いてくれると信じていたほのかのことだから、この年齢になっても赤ちゃんはコウノトリが運んでくると思っているのかもしれない。

俺は、ほのかが座っているベッドにもたれかかって頭を抱えた。



「アイドルって、こんなことするの?」

ほのかの声に、顔を上げる。

彼女の視線の先には、ビキニを着て浜辺で微笑むアイドルの姿があった。
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