ドラマチックな恋は、突然に。
……公園に着くと、犬を連れた彼が既に待っていた。

「…ごめんなさい、待たせてしまって」

そばに寄ると、

「いえ、僕も今来たところですから」

と、にこやかに応えた。

こんな待ち合わせの何気ないやり取りでさえも、もう長いことしてない気がして新鮮に感じてしまう。

思わず顔がにやけそうにもなる私を覗き込んで、

「どうかしましたか?」

と、彼が首を傾げた。

「……なんでも」

緩む頬を手で挟んで、笑い返した。

そこへ、

「今日の服、可愛いですね」

なんて言われて、挟んだ頬がさらに赤くなってしまいそうにもなって、ぎゅっと両方の手で押さえ込んだ。

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