ドラマチックな恋は、突然に。
公園で待ち合わせてーー

「今日は、ドッグランでマロンを放してみようかなと思って」

犬を抱いた光希くんが言う。

「うん、マロンちゃんてドッグランは初めてなの?」

「そうなんです」頷いて、

「マロンも僕と同じで、ちょっと人見知りだから、連れて行ったことがまだなくて」

はにかんだようにも口にする。

「今日は、私がいるから大丈夫でしょう?」

なんて、ちょっと茶化して返すと、

「はい、志穂さんがいるから大丈夫です」

と、彼は笑って答えた。

その笑い顔に、つい可愛いなと引き込まれてしまう。

ほんとなんだか人懐っこい犬みたいに可愛いらしくて……そう感じて、何考えてるんだろうと頭を振った。

彼を好きになりそうな自分が、怖かった……。

だって私には、ちゃんと旦那がいるのに……10年も連れ添った夫婦を、今になって簡単に解消できるはずもなかった。


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