ドラマチックな恋は、突然に。

ーー彼と犬の散歩を一緒にするのが何回か続いて、

「……おまえ、なんか最近楽しそうじゃないか?」

ふと、旦那に尋ねられた。

「…えっ、そう…かな」

浮気と呼べるような関係には発展してないものの、男の人と2人っきりで会っているという後ろめたさは少なからずあった。

「……別に、なんにも…」

咄嗟にごまかすと、

「そうか? まぁおまえが浮気とかはないって信じてるけど、やけにうきうきしてるようにも見えるからさ」

そんな風にも話されて、彼と会うのがなんだか悪いことのようにも感じられた。

「…ごめん、ほんと気のせいだから」

作り笑いを付け足して応えると、もう旦那はそれ以上は何も追求してこなかった。

(……彼とは何にもないけど、でも2人で会うのって、それだけでも浮気になるのかな)

浮気……不倫……頭の中に思い浮かべると、自分には無縁だと思っていたその言葉が、急に重たくのしかかってもくるみたいだった。

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