ドラマチックな恋は、突然に。
……そんな出来事があってから会うことになった、光希くんとの公園の散歩で、

いつもは離れている手が、歩いている間に近づいてふと触れ合い、

「……あっ」

と、声を上げた。

慌てて引こうとした手が、不意に握られて、

「……だめ、光希くん」

振りほどいた。

「……ごめん、僕……」

気まずさが流れて、足を止めて立ち止まる。

「……いいの、でもこういうのはやっぱり……」

旦那との一件もあって、口をついて出た言葉に、

「……志穂さんって、やっぱり恋人とかいるんですよね…」

彼が呟いて、

「……ううん」と、首を振った。

「恋人じゃなくて、もう結婚してるの…」

「え……」と、彼が驚いたように私の顔を見やる。

「……ごめんなさい、初めに言えばよかったんだけど」

そう謝ると、

「いえ僕の方こそ、ちゃんと聞かなかったから。すいません…」

頭を下げられて、返事のしようがなくて黙り込んだ。


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