ドラマチックな恋は、突然に。
「えっと……」

犬の散歩ぐらいなら問題ないかなとも思い悩む。

だけどここなら家からは多少離れてるし、あんまりご近所さんと鉢合わせることもないだろうからと、やや打算的にも考えて、

「……じゃあ、お散歩だけなら」

と、OKをした。

「……あと私の名前は、志しの穂で志穂(しほ)って言います」

名字は高木でごくありふれていたけれど、フルネームを話すのはやっぱりちょっとためらわれた。

「……志穂さん」

彼、光希くんが自分の名前を口にすると、それだけでも胸がキュンとする。

ふわふわとしたゆるくパーマのかかった薄茶色の髪に、アーモンド型のつぶらな瞳……どこを取ってもイケメンぶりがあふれるようで、ドキドキしない方が不思議なくらいだった。

「ここで散歩をする時には、知らせますから」と、メッセージアプリのIDを交換して、その日はそのまま彼と別れたーー。


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