制服を着て、空を見上げて歩いた。
永和 × 亮
「いってきます」
次の日、私はいつものように制服を身にまとってドアノブを回した。
…ただ、いつもと違っていたのは写真たてが昨日から、伏せたままの状態であったこと。
「掃除、してないのかな。まだ」
少し不安になってドアの方を見つめるけれど、そんな思考をかき消すように溜息をつく。
「行ってきます、お母さん」
もう対面して言えない言葉をもう一度、ドアに囁きながら背を向けた。
ヘッドホンから流れる音楽。
上を見ながら歩く私。
なにも、なにもないただの女子高生だ。
「今日は快晴だなあ」
…少し、昔のことを思い出した。
サァッと吹く風。
なびく髪。
新鮮な空気の匂い。
「少し、懐かしい」
そんな気がした。
それから、意味もなく昨日と同じルートを歩いた。
すこし入り組んだ道が目立つルート。